じょぶたんユーザー

株式会社ジェムコ日本経営　
バリュー・クリエーションコンサルティング事業部 部長コンサルタント 牛奥 修三様

株式会社ジェムコ日本経営はものづくり企業の経営革新のコンサルティングで4,500社以上の実績を持つ製造現場を熟知したコンサルティング会社です。化学・医薬品、電気機器、機械、精密機器をはじめ様々な業種をカバーし、その領域は、コスト削減・省エネ、生産性向上、物流、経営戦略・経営管理、マーケティング、営業力強化、人材・能力開発、DX推進など、広範囲に及んでおり、近年は製造現場のベテラン技術者が持っている「暗黙知」の継承で企業経営を持続させるコンサルティングとしてメディアからも注目されています。

アメリカのジェネラル・エレクトリック社発祥のVE（バリューエンジニアリング）をベースにしたオリジナルの指標を活用するコンサルティング手法において、顧客の業務実態調査を目的として、これまで多くの製造現場で「じょぶたん」をご利用頂きました。

食品メーカーの品質保証部門での検査・分析・管理業務において「じょぶたん」による勤務実態調査でどのような課題が明らかになったかをバリュー・クリエーションコンサルテ ィング事業部の牛奥様にお話を伺いました。（以下、敬称略。聞き手：ＮＸ総研・福井）

総研

御社がこれまで様々な製造現場で「じょぶたん」を利用されている理由は？

牛奥

「じょぶたん」を利用する以前は、作業時間の計測は現場の従業員の方々に手作業の記述式でやってもらっていました。しかし業務改善のために行なうコンサルティングの中で、ただでさえ忙しい通常業務の合間に余計な手間をおかけするのを申し訳なく思っていました。「じょぶたん」を使えば従業員の負荷は最小限で正確なデータが取れて分析もすぐにできます。弊社の業務改革のコンサルティング手法とかなり相性がいいので「業務実態調査フェーズ」に取り入れる形でこれまで多くの案件で利用させてもらいました。

「じょぶたん」ではまず工数データが明らかになります。業務比率、構成比、誰にどのような負荷がかかっているかが把握できるので、分析評価の着眼点と組み合わせることで改善のターゲットとアプローチが明確になります。

図１：ジェムコ社の働き方改革支援コンサルティングの手法

総研

最近の「じょぶたん」利用案件について教えてください。

牛奥

ある食品メーカーから働き方改革をサポートするコンサルティングの依頼を受けて、3つの工場の品質保証部門に配属されている約50名の従業員に対して「じょぶたん」を使って勤務実態を調査しました。

食品検査グループの分析担当チームのリーダー格6名の計測結果から本来リーダー格の人が行なうべき管理業務は18時以降の残業時間帯に集中していて、日中は検査業務に多くの時間が費やされていることが明らかになりました。

検査業務にはHPLC（高速液体クロマトグラフ）のような時間がかかる検査もあれば、PH測定器、水分計、糖度測定器などですぐに数値が出る検査もあります。サンプルの調達が必要な検査は事前準備に時間がかかります。食品を分析機器に投入して検査する仕事は分析手順が定められており、手順通りにやれば終了時間は均一のはずです。しかし標準時間を大きく上回るケースが見受けられました。

原因を調査したところ、分析の合間の空き時間の使い方が人によって異なっていたこと、分析が終わった後のデータ処理にかなりの時間がかかっていることがわかりました。データ処理も検査関連の業務に含まれます。リーダー格6名の管理業務が時間外勤務時間に多いのは日中の検査業務とデータ処理に時間がかかっているのが要因だということが明確になりました。

総研

そのような課題に対してどのような改善を提言されましたか？

牛奥

人によって空き時間の使い方が異なっていた分析手順については電子WEBマニュアルを整備して検査場所に置いてあるタブレットでマニュアルを見ながら誰でも同じ手順で行なえることを提言しました。

時間がかかっているデータ処理の一部は自動化を検討してAI-OCRとRPAの組み合わせで効率化することで、日中の検査業務にかかっている時間を短縮して管理業務に集中できます。

また各工場の品質保証部門が提出するデイリーレポート(日報)の出力内容に違いがあったのですが、社内の出荷管理システムに入力するデータがあまり膨大で全部を入力できていないのが原因だとわかりました。この課題に対しても先程のデータ処理の効率化と同様に必要なデータをRPAでどんどん入れることによって全社共通フォーマットのデイリーレポートが自動的にできることを提言しました。

図２：AI-OCRによる業務の自動化例

総研

「じょぶたん」を使ってみて良かった点は？

牛奥

「じょぶたん」は自分達でかんたんに作業項目を設定できて、計測終了後もデータ分析がすぐにできるところがいい点だと思っています。今日お話した食品メーカーのコンサルティングでは約50名の計測対象者ほぼ全員にヒアリングして586の作業項目の洗い出しを行ないました。「じょぶたん」の計測開始前の初期設定作業において、たくさんの計測作業項目をCSVで一括アップロードできるのがすごく便利でした。

総研

本日は貴重なお時間とご意見を賜り、誠に有難うございました。

写真：バリュー・クリエーションコンサルティング事業部 牛奥様